LIOJ 35th Anniversary
「箱根町小学校国際理解教室の取組みについて」
箱根町教育委員会学校教育課 栢沼真次

1.はじめに

 平成12年度秋、平成14年度から完全実施される「新学習指導要項」で「総合的な学習の時間」が導入されることに伴い、箱根町小学校長会ではその移行期間となる平成13年度に是非、英語教育活動の導入をとの要望を受けたことが契機でした。

 本町は、国際的な観光地を有し、外国人観光客も多く、子ども達が外国人と接する機会も多い中、国際感覚を磨き明るく接し、ものおじしない、豊かなコミュニケーション能力、マナーなどをもたせることができる環境にあります。このような地域特性の中、特に小学校の国際理解教育の一環として、「総合的な学習の時間」を利用し、生きた英語を聞き、話すこと、諸外国の文化を正しく理解することなどを通して授業が展開できる外国人講師を導入することを箱根町教育委員会として決定しました。

2.外国人講師(ALT)の派遣について

 中学校には、いろいろな方法により人材を確保し、各学校に派遣をしてきましたが、対象が小学生ということになると、より教育的配慮ができ、指導力のある人材が必要となります。そこで、小学校のALT派遣では、責任ある機関を選定して、人事管理等を含めて委託をお願いすることにしました。

 さて、どこを委託先にするのか検討する中で、生きた英語や異文化への理解教育を実践している「LIOJ」が候補にあがり、現在、箱根町教育委員をしておられる高橋正美さんが、以前「LIOJ」にお勤めになっていたご縁から、中山アジアセンター所長、ケイニー校長、増田さんをご紹介いただきました。中山所長さんの「LIOJ」の実践内容の説明、ケイニー校長の経歴や人柄を拝見して、必ず箱根町の子ども達のために貢献してもらえると確信しました。

3.国際理解教室の実施方法

 平成13年度から箱根町内5小学校へのALT(ケイニー校長)の訪問は毎週木・金の順番で、1日4時間ずつ。そのうち、打合せのために1時間が充てられるので、国際理解教室の時間は3時間ということになります。1校1学年当たりの年間授業時数は6時間です。授業は、ALTと学級担任のTT(ティームティーチング)で実施しています。

 国際理解教室の実施に際して、特に箱根町教育委員会として気をつけていることは、「英会話を教えるのではない。」ということです。授業は英語で行われるが、英語を多数の異文化が学習する際の一つの共通語としてとらえるということです。また、各学校に「これをやらなければならない」という強制的なカリキュラムはありません。

4.おわりに

 平成13年度から実施し、今年で3年目、箱根小学校の総合的な学習の時間での実践内容が「LOIJ」などを通じて紹介され、子ども達に自信と誇りが出てきたような気がします。「ケイニー先生の授業は楽しい。」「英語が好きになった。」という声を各校からいただいたり、また、児童自ら英文案内図を作成し積極的に箱根に訪れた外国の方々に話しかけ、もてなしの実践をするなど、着実に箱根町国際理解教室が定着していることが実感できます。


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