LIOJ 35th Anniversary
「今後とも良きパートナーシップを」
東京都立芦花高等学校 博田 英明

 このたびは創立35周年、誠におめでとうございます。「高校生集中英語合宿コース」をここ数年利用させていただいている高校教員の立場から、LIOJに寄せる想いを述べさせていただきたいと思います。

 「楽しく英語を学ぶ生徒の表情が見たい」・・・こんな願いを込めて常日頃から高校現場で英語教育を実践していますが、教室での授業にはどうしても施設面、人材面等で限界があります。こうした課題の解決を目指し生徒に「生きた英語」を学ばせる環境づくりをするためなら、学校といえども積極的にアウトソーシング(外部委託)をして特色化を打ち出すべきではないか、と考え始めたのが前任の都立八王子高陵高校へ異動してきた10年前の頃です。外国語コースが設置され、履修できる英語の単位数も多く、ある程度英語をしっかり学べる環境は整っているものの今ひとつコースの特長がなく、生徒の学習意欲や期待に十分応えきれていないのではないかと常々感じていたのです。そんな折、元同僚の黒沢一晃先生から都立深川高校が数年前から実施しているLIOJの英語集中合宿講座の紹介を受け、学校を離れた場で集中的に英語を学ぶTOTAL IMMERSION方式に魅力を感じ、「何とか本校でも」と具体的な検討を始めました。

 実施に向けてまずは他校における英語合宿の資料集めから始めました。しかし実現までは「イバラの道」でした。資料が集まった時点で職員会議に提案してみたものの、情報不足や「英会話が何だ!」という実施への疑問などを次々に指摘され、結果は見事に(!)否決。英語科教員の中の抵抗も強かったことが印象に残っています。しかし、ここで諦めては元も子もない・・・と戦略を変更し、生徒へのアンケート調査を実施し希望する生徒の多さをデータで示すとともに、保護者会で説明を行って理解を求めたり、深川高校の英語合宿を泊まり込みで視察してJim校長先生やスタッフの方々と話を進め、八王子高陵高校での最適な実施スタイルを模索していきました。また学校全体で取り組むという視点から、引率も英語科に限らず他教科の先生にも協力してもらい、管理職へも実施意義をアピールするといった下地づくりにも努めました。その結果、教職員の理解も得られ、否決から半年後の職員会議では全員賛成の形で実施が決まりました。97年秋のことです。

 こうして98年の夏に八王子高陵高校で第1回目となるイングリッシュサマーキャンプ(2泊3日)が実現しました。参加希望制のため、どの程度の人数が集まるか正直不安でしたが、70名程度の生徒が趣旨を理解し積極的に参加してくれました。構成は女子が圧倒的に多く1年生が中心でしたが、中には受験を控えた3年生や留学生の参加もありました。私自身この年を含め3年連続で毎年70名前後の生徒の引率を引き受け、夏の学校行事としてすっかり定着することになった次第です。

 さて、LIOJのプログラムで毎回感心するのは、講師陣及びスタッフのチームワークの素晴らしさです。講師一人一人の力量もさることながら、全体としての結束力の強さ、柔軟性のある対応などにいつも感服しています。同じ英語を教える立場としてこれは大いに見習わなくてはなりません。人と協力するというコミュニケーション能力をつけることが英語教育の究極の目的なのですから・・・。このチームワークの良さがプログラムの随所に生きており、実施後の生徒のアンケート結果にも成果として如実に表れています。

 ある日、このあたりの秘訣を知りたくて、当日の講習が終わった晩、翌日の打合せを兼ねて事務局内にあるJim校長先生の部屋を訪ねたことがあります。生徒から提出された膨大な課題のチェックや外部からのメールチェックなどに楽しそうに対応されているその姿から、この熱意と親しみやすさこそがLIOJのプログラムを成功に導いている要因なのではないかとの感を強くしました。

 現在私は前任校での経験を踏まえて、都立芦花高校(世田谷区)において今年の開校と同時にイングリッシュサマーキャンプを導入する計画を立て実施に向けて準備を進めています。第1期生の約4割近くの93名という多数の参加を予定しており、今まで以上にLIOJには様々な面でお世話になります。芦花高校では将来的に海外との姉妹校提携も計画しており、短期留学の事前研修としての当プログラムの活用も考えています。Jim校長先生のリーダーシップのもと、講師陣及びスタッフが綿密な打合せや反省会などを繰り返され、より優れたプログラムへと改善を図っている「発展する組織」としてのLIOJと、高校英語教育を通して未来の人材を見守っている現場の人間として今後も良きパートナーシップを築いていけたらと願っています。

 最後になりましたが、事務局の増田様、水上様にはプログラム導入当初から様々な面でご助言・サポートをいただき誠に感謝しております。LIOJの益々のご発展を心よりお祈りいたします。


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